悪魔は約束を絶対守るという風潮wwwwww



1: ◆CItYBDS.l2:2019/09/08(日) 09:08:42.07:1Xampk/10 (1/15)



悪魔「……私を召喚したのは貴様か?」



女「そうです」



悪魔「ふふふ、小娘ごときが私にいったい何の用だ」



女「契約して欲しいんです」



悪魔「ほほう! 悪魔に対して自ら契約を持ち掛ける奴など初めてだ! して、望みは何だ?」 






2: ◆CItYBDS.l2:2019/09/08(日) 09:09:27.75:1Xampk/10 (2/15)




女「契約してほしいのです」



悪魔「話の分からん奴だな。だから、望みを言えと……」



女「まあ、私の話を聞いてください」



悪魔「……」



女「私、保険の外交員をやっているんです」



3: ◆CItYBDS.l2:2019/09/08(日) 09:09:58.10:1Xampk/10 (3/15)




悪魔「ほう、みなまで言うな。成績が良くないのであろう? それで、世界一のセールストークを欲しているといったところか」



女「いえ、成績は会社でトップを張っています」



悪魔「……じゃあ、なぜ?」



女「つい昨日まで、毎日のように、訪問する全ての家々から契約を勝ち取ってきました」



悪魔「昨日まで?」



4: ◆CItYBDS.l2:2019/09/08(日) 09:10:24.81:1Xampk/10 (4/15)




女「そう、昨日のことです。私は、次のお客様を求めてゼンリン地図を広げていました。そして気づいてしまったのです。私が担当する、この地区にはもう……私の取り扱っている保険に入っている人がいないということに!」



悪魔「えぇ……めっちゃ、すごいやん。私も、契約をとってくるのが仕事みたいなもんだから。貴様のすごさが身にしみてわかるぞ」



女「お褒めに預かり光栄です」



悪魔「営業のコツとかあるの?」



女「まあ、基本的なところですけど。まずは、相手の興味を引くことですね」



5: ◆CItYBDS.l2:2019/09/08(日) 09:10:51.09:1Xampk/10 (5/15)




悪魔「ふむふむ」



女「そして、心をつかんだ後は喋り過ぎないこと。むしろ、相手に喋らせることが重要です」



悪魔「相手に喋らせる?」



女「そうです。お客様の言葉というのは宝箱のようなもの。なんともない話からニーズを掘り起こすのです」



悪魔「簡単に言ってくれるけど、それが難しいんだよな~」



6: ◆CItYBDS.l2:2019/09/08(日) 09:11:18.45:1Xampk/10 (6/15)




女「まあまあ、そこはテクニック次第ですよ。時に不安をあおり、時におだて、時にこじつけ、お客さんと商品を関連付けさせるのです」



悪魔「なるほどなあ……。でも、そういうテクニックを使うのって、ちょっと罪悪感がでちゃうんだよなあ」



女「その様子ですと、営業に苦労していらっしゃるようですね」



悪魔「そうそう。そうなんだよ。悪魔ってのも、なかなか大変でね」



女「やっぱり、魂をとってくるのが仕事なんですか?」



7: ◆CItYBDS.l2:2019/09/08(日) 09:11:47.37:1Xampk/10 (7/15)




悪魔「基本はそうだね。相手の望むものを、提供して。代わりに相手からは、魂を受け取る感じかな」



女「支払いが魂でってなると、相手が尻込みしちゃいそうですね」



悪魔「そうなんだよ! ようやく契約がまとまりそうな段取りになったところで、びびっちゃう奴が多いこと多いこと!」



悪魔「呼び出しておいて、そりゃないぜ! って気持ちよ!」



女「ノルマなんかもあるんですか?」



8: ◆CItYBDS.l2:2019/09/08(日) 09:12:13.86:1Xampk/10 (8/15)




悪魔「あるよ~、もうしんどいしんどい。中には、心労で倒れちゃう悪魔だっているんだから」



女「……へぇ、悪魔も倒れることがあるんですか」



悪魔「まあ、基本的な体のつくりは人間と同じだしね」



女「悪魔さんはくれぐれも、お体に気を付けてくださいね? 倒れちゃったら、大変です」



悪魔「へへへ、ありがとう。俺にも、家族がいるしね……まだまだ倒れるわけにはいかないよ」



9: ◆CItYBDS.l2:2019/09/08(日) 09:12:51.55:1Xampk/10 (9/15)




女「……ねえ、悪魔さん。嫌な話になるんですけど、ちゃんと転ばぬ先の杖って用意してます?」



悪魔「転ばぬ先の杖?」



女「もし、悪魔さんが倒れちゃった時、ご家族を養えるだけの貯えはあるんですか?」



悪魔「……少しはあるけど。でも、子供もまだまだこれからお金がかかる時期だしなあ」



女「私……悪魔さんの、お手伝いができるかもしれません」



10: ◆CItYBDS.l2:2019/09/08(日) 09:13:18.45:1Xampk/10 (10/15)




悪魔「あ、保険の勧誘? いや、うちはそういうのいいから」



女「いえ、いい機会です。ちょっと想像してみてください。悪魔さんが倒れてしまった時の、ご家庭の様子を」



悪魔「……」



女「大黒柱が倒れて、不安を抱かない家族なんていません。奥様やお子さんの、心労幾ばくか……」



悪魔「確かに、あいつらを不安な思いにはさせたくはないな……」



11: ◆CItYBDS.l2:2019/09/08(日) 09:14:07.47:1Xampk/10 (11/15)




女「でしょう!? 私が取り扱っている医療保険に入っていれば、ご家族に心配をかけることもないでしょう」



悪魔「契約します!」



女「ありがとうございます!」



悪魔「いや~、してやられちゃったよwww流石、営業成績ナンバーワンなだけあるねえwww」



女「へへへwww有難うございます。あ、この保険にはガンの特約もあるんですが」



12: ◆CItYBDS.l2:2019/09/08(日) 09:15:09.33:1Xampk/10 (12/15)




悪魔「ガンかぁ……、実のところ悪魔にとってガンが一番の敵なんだよねえ」



女「と、いいますと?」



悪魔「いま、一番、人間の魂とってくるのってガンなんだよ。あいつらが、ばんばん人間殺すせいで、こっちも商売あがったりさ」



女「でしたら、ぜひ! このガン特約で復讐をしてやりましょう!」



悪魔「そうだな! ガン特約も入ります!」



女「毎度!」



13: ◆CItYBDS.l2:2019/09/08(日) 09:15:38.34:1Xampk/10 (13/15)





そして、月日が流れ



prrrrr prrrr


悪魔「あ、もしもし女さん? お久しぶりです~」



女「これはこれは、悪魔様。いかがいたしました?」



悪魔「実は、ガンになっちゃってねw保険に入っていて本当によかったよwww」



女「それはそれは……」



悪魔「まあ早期の大腸ガンで、命に別状はないんだけどね」



14: ◆CItYBDS.l2:2019/09/08(日) 09:16:05.68:1Xampk/10 (14/15)




女「早期ですか……もしかして、『上皮内ガン』ですか?」



悪魔「そうそう、さすが詳しいね」



女「……申し訳ありませんが。上皮内ガンは、保険の対象外となります」



悪魔「はあ!?」



女「約款にも、そのように記載されてあります」



15: ◆CItYBDS.l2:2019/09/08(日) 09:16:33.12:1Xampk/10 (15/15)




悪魔「いやいやいや、ちょっと待ってよ!」



女「詳しいお話は、当社のご相談センターへご連絡ください。それでは」ガチャ プー プー



悪魔「……」





悪魔「…………奴らの方がよっぽど悪魔だ」





おわり



16:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2019/09/08(日) 18:26:33.12:q+vj9Yy1O (1/1)


うんこ



17:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2019/09/08(日) 20:44:07.60:EoF51SxCO (1/1)


必要な者には無く、不要な者は持つ

保険ってままならないよね…






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